君は/bjorn
 
君は孤高の城砦に篭り
アメリカンコーヒーを片手に
砂時計を睨みつつ
夜空に浮かぶ星々の軌跡を追う

君は数式を解いて
混沌に秩序を
偶然に法則を
変化に予測可能性を
無数の仮説を検証する

君は俗世を離れて
手の届かない虚空に
形而上学的恍惚に
ノートパソコンを携えて
夜毎飛翔する

一緒に飛んでゆけない私は
難解な理論を斜め読み
打ち寄せる感情の波音を聞いて
君には見えない妖精達とお喋りしては
遠い夜空を見上げて佇んでいる

気まぐれに開く城門の前で
君を奪う星の光を吹き消したら
ティンクはそう耳元で囁いて
私をちょっと困らせる
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