散華拾遺歌/アマル・シャタカ
涙が書かせる言葉がある
流れて消える泡沫の
一瞬にしてまた覚めぬ夢
心が鳴き伝える音がある
そして詠うわたしがいる
旅立った言葉は涙に包まれて
優しく鳴く
見送るだけのわたしはただ
それを詠ったというだけの虚構
散っていった者は帰らない
思いだけを地に埋めて
永劫回帰の海に沈む
この星が青いのは埋められた思いの色
この星が丸いのは流されたしずくの形
虚栄の群れ驕りのかがり火の影で
一人虚構のわたしのみが
宝物のように抱きしめては
埋められたものを放つ
幾重にも重なる思いと言葉と時空の果て
高音域の世界でわたしは
琴線を震わせて奏でる
誰かに聴かせるためでなくただ
思いが青に
澄みきった青に
昇華できますようにと
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