*さくら2007*/かおる
風に弄ばれ、雨に嬲られ
春の欠片は
華やかで暖かで
何処か哀しい
春一番と供にやってきた
サクラ色の季節は
緑色に変容して
ひねもすのたりと
猫とうたた寝中
寝過ごしたりしないように
風が時々渺々と騒ぎ
雨まで降らすと
空に虹の架け橋
春のレクイエムは
いつだって薄紅色
ハラハラと音も無く
降り急ぐ花びら
風に乗って遠く
それでも黄砂のように
海を越える事はない
冬の根雪のように
地にまみれ
風に葬られても
ふとした狭間に
咲き誇っていた時を想い
セピア色のあの頃まで蘇ってくる
心模様を呼び覚ますさくらかな
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