白という色の可能性について/猫のひたい撫でるたま子
るんで机の奥へとしまう。また忘れた頃に取り出しては、舐めている間だけ感傷に浸ることが許される。この飴玉と記憶は誰とも共有することが許されず、自分の勝手で愛する男性を傷つけた女たちへの罰則の、白。飴玉はすぐにも舐め終わってしまう、欲張りにすぐ舐め終わり次の飴玉が配給されると思っている傲慢な女性の頭には、舐め終わった瞬間から、愛情という感情が削除されてしまうという。
白いコーヒーカップというのは、カップを挟んで語り合う人を必要とする。日本人ならば、カップの白を引き立てるため中にはコーヒーを注ぐという美的感覚が存在し、そこには砂糖を入れないのが粋とされる。砂糖の甘さは会話の中に存在するため、余分に砂糖を加えてしまうと甘さに絶えず、恋に落ちるべきでない二人が恋に落ちてしまう可能性を含む。コーヒーが飲み終わってしまえば、カップを挟んでいたはずの二人も別々の場所へと行かざるを得ず、恋という離れがたい感情は生活の足かせになるのだという。恋という危険物を注ぐ、コーヒーカップの白。
白い猫や、白い塔、白いカーテン、白い歯、などについては語りつくされていると感じるので、またの機会に。
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