コンタクトレンズテントウムシ/はじめ
ろうと思った そしてナナホシテントウを逃がそうと思ったのだ 僕が空から何を読み取ったのかそれは分からない でも 生きる上でとても大切なことを学んだような気がするのだ 僕はナナホシテントウを逃がす前に堤防に寄ってもう一度空をじっくりと眺めたいと思った 僕は何も悲しくないのに俯いて春の堤防へ向かった
堤防に続くように桜が植えられていて強い風が吹くと花びらがぶわっと散った とても美しい光景だった 僕は堤防の芝生に寝ころび 雲のかかった空を眺めた 空は常に見てくれる人の気持ちを考えている 僕が不安事を話すと空はそれに応じて相談をしてくれる 僕は空が姿を変えるまでずっと相談事をしていた 夕暮れになると不思議と僕の不安事は無くなり しかしまだ話したいことが山ほどあるような気がしていた 景色はコンタクトレンズを通してあまり変化は見られなかった 僕はナナホシテントウを放す時間だと思い そっとナナホシテントウを外し 逃がしてやった 帰りにホカ弁でも買って帰ろうかと思った
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