電車の形の喫茶店/
チアーヌ
い
たぶん何も話して
いなかったのだろう
こげ茶いろの
朴訥な木のテーブルと
深い赤のランプシェード
少し変な名前のついた
料理が並ぶ
メニュー表
少し懐かしい
ポップソング
夢を見るように
遠い
どこにでもある
恋愛の記憶
辺りは静かで
店内に流れる
ポップソングに混じって
虫の声が
聞こえた
夏の終り
そんな喫茶店は
電車の形をしていて
街外れに
ぽつんと
あった
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