電車の形の喫茶店/チアーヌ
 
その喫茶店は
電車の形をしていて
街外れにぽつんとあって

わたしと彼のお気に入りだった

彼といるとき
わたしは何も知らない
女の子でいられた
彼は
はじめての人だったから

わたしはまだ開発途上
女になりきっては
いなかった

夜暗くなった街を
車で走るのが好きだった
少し走れば
すぐに山に入る
そんな土地で

バイパスは光りに満ちて
二時間4800円で
休憩ができるホテルが
まるでシンデレラ城みたいに
輝いて

夕方から休憩を
終えた二人は
デートの締めに
街外れの
喫茶店に寄る

何を話していたのかなんて
覚えていない
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