春の鼻/はらだまさる
四八(しはち)、三拾余の
せかいが破裂音と共にきえた
乱擾(らんじょう)のあかつき
辻斬り紛いの刃はこぼれ
鎧の傷口を匂う、
おぼろな自死
新聞ではバグダッドの
スラム街と市場で起こった
テロルの惨劇を知る
現場から放射状に肥大する
概念と存在の涙腺からは
慟哭がながれ落ち
夜露をせおう草や
のびた陽さえも
いのちを喰う、と云うことを知る
呑みこまれた星ぼしの母よ、
こらえずになけば良い
庭の雀も啼いている
物干し竿に吊られた木綿の布と
路上を、墨塗るように
雨筆がなぞる
なぜ他人
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)