たくさんのきみにできること/石田 圭太
地球にのりたくて
こころの自転を体現したら
重心がくるった
ゆがんだものを映さぬように
その
景色のひとつ
めを
置いていく
きみの人間になりたくて
たくさんの花々を届けたら
庭の緑が消えた
ほろびたものは嗅がぬように
その
香りのひとつ
はなを
置いていく
たくさんのきみを苦しみたくて
たくさんのきみを苦しみたくて
きみの時間になりたくて
ぼくらの一秒間を包んだら
未来が止まった
わすれた頃にめぐらぬように
その
世界のひとつ
ぼくのからだを
置いていく
戻る 編 削 Point(78)