たくさんのきみにできること/石田 圭太
 
地球にのりたくて
こころの自転を体現したら
重心がくるった
ゆがんだものを映さぬように
その
景色のひとつ
めを
置いていく


きみの人間になりたくて
たくさんの花々を届けたら
庭の緑が消えた
ほろびたものは嗅がぬように
その
香りのひとつ
はなを
置いていく


たくさんのきみを苦しみたくて
たくさんのきみを苦しみたくて


きみの時間になりたくて
ぼくらの一秒間を包んだら
未来が止まった
わすれた頃にめぐらぬように
その
世界のひとつ
ぼくのからだを
置いていく

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