天井/チアーヌ
 
ツと誰かが歩く音が響き
近くを流れる川の音も
微かに聞こえた

わたしは起き上がれない
どうしても起き上がれない
目に見えない何か
目に見えない
なんだろう
一体なんなのだろう
この胸の上に乗って
そう大きくもないわたしの体を
押さえつけるなにか
なにか

ほんとに追い詰められたときは
涙なんて出ない
泣くことなんてできない

目を開いていても
なにも見えない
ただ
天井が
天井が




目を覚まし
あたりを見回し
ああ、違う、違う、違う、と
安心し
そしてやっと

わたしは泣いた

安心して
泣くことができるのは
とても幸せなことだ

とても


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