遠吠え/松本 卓也
何でこんなに陳腐なのかな
僕の言葉 どれだけ積み重ねても
決して届きやしないのが
分ってしまっただけで
気づいてあげれなくてとか
見て居なかっただとか
言い訳にしか過ぎない
歴然とした事実がそこにある
頼られなかったのだし
残されなかったのだし
そうだ 気にする事は無い
何時ものように一人になっただけ
そもそも抱いていた温もりは
単なる幻想だったのだから
暫くぼんやりと夜空を睨んでも
一滴の涙さえ出てこない事が
何よりも心を表している
何かを告げる資格は無い
何も与える隙間は無い
ただただ見送るだけ
見えない場所から
見えない場所へ
何も変わらないんだ
昨日と同じでしかない
書き残された言の葉に
存在が皆無だった事こそ
何よりの証じゃないか
昨日もそうだったように
今日もそうだったように
明日もそうあるのだろう
取り残された野良犬となって
月に叫んでみようか
遠吠えに混じる想いはきっと
君にだけは届かない
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