ヴィーナス・ブリッジ?/Rin K
空の、あまりの青さが
出逢った日と同じ色をしていたから
なんだか違和感を覚えてしまって
それを誤魔化すように
むきになって笑ってみた
ここは夜景もいいけれど
飾り気のない素顔の街が見えるから
昼間だっていいね
そんなことを話しながら、もう
透明の影のような君と
小さなベンチに並んで座った
最後の発信履歴を見ると
とっくにどこかで途切れてしまって
行ったきり帰ってこない電波に
半分のせかけて、やめた
どうしようもない問いかけが
そこここの木に引っかかったまま揺れている
ねえ 僕と君と、
どちらが先に気づいたのだろう
僕が寂しいときだけ
君を欲していたこ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(32)