まいちゃん (リストカッターは腕時計をしないよ)/リヅ
と自分で涙を拭える人だし
その強さはあたしが愛したところでもある
あたしがいなくなっても
きっといい人に出会えるでしょう
その人はあたしが与えられなかった幸せを
かわりに与えてくれるでしょう
あたしじゃなくてもいいよ
沈殿した退屈の砂に
何度でも刻まれる四文字のその上で
まいちゃんは砂の色がピンクに変わるのを待っている
幸せな恋の色
明日を恐れながらも
大切な退屈を永遠に抱き締める日を夢見ている
夢はお嫁さんで
これからも変わんないんだって
君が死んでも世界は変わらない
だけど君が生きていれば世界は変わっていく
まいちゃんが今、抱き締めている
昔、大切な人にもらったという陳腐な言葉を
あたしは今、少しの笑いと涙を堪えて眺めている
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