霧雨/水在らあらあ
 
から
もっときれいな霧雨を送るから

カモメたちが叫んでいる
波は笑って砕けて
おまえを抱いている俺は
おまえ以外
この世界で
本当のことを
知らなくて

生まれた国が
おまえの金髪が
俺の黒髪が
おまえの緑の森が
俺の茶色い銀河が
横浜のカモメが
公園の孔雀が

何だっていうんだ
何だっていうんだ
何だっていうんだ

世界は繋がったふりして
ちっとも繋がっていなくて
その中で繋がっちまった俺達は
生活に
夢に
愛情以外のすべてにやられて

そんなことも見えなくて
そんなこともただ悲しくって
だったら本当に本当のことが
ほかにあるんじゃないかって
あるわけないのに

手をとって
雨を払って
くちづけて
見つめて

さよなら さよなら
おまえはここにいて
霧雨を浴びて
季節のように
泣いたり笑ったり
死んだり生まれたりして

さよなら さよなら
俺はもう行くよ
もうどこでもなくて
この海が
この海だけが
俺の故郷だから










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