霧雨/水在らあらあ
長い睫で隠さないで
果てしなく冷酷な海に出る前に
その緑でもう一度抱いて
そこが帰る所だって言って
そこにしか俺は帰らないんだって
そんな嘘を
貫いて決め付けて
やっとアカシアが咲き始めた
海沿いの崖の上で
霧雨の中で
こんなお別れをするのは
俺達に似合って
くだらなくて
俺はね
実はね
おまえのその緑の中で
ずっと遊んでいたかった
海になんて出たくなかった
森の動物たちの一員として
月夜にコンサートとかして
おどけて
楽しいふりして
ずっとおまえの一番柔らかいところを
くすぐっていたかった
霧雨に愛されて波頭が砕ける
それはきら
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