雨と目玉とブッダと空腹/はじめ
中で一通り描いて僕は現実を見る おぉこれは僕が望んでいた世界だ 僕はまた印象派の絵を描き続ける 雨の音が宇宙のラジオみたいでとても心地良い 僕は雨音から色んな話を想像する あれがいてこれがいてそれがいてどうなって… 僕は満足し しばらく無心になる
素麺を茹でなくちゃいけなかったんだ 別に誰に強要されるわけでもなく でも感情が急かす でも結局素麺を作ることを止めた 素麺を食べるにはまだ時期が早過ぎるからである 思い出してみれば麺汁も素麺も無かった この雨の中買いに行くのもめんどくさかった 雨は外へ出掛けるのに厄介だけど 家の中で考え事をしながら鑑賞するのにはいい 世界中で雨がずっと降り続けばいいなと思う そして世界の汚れを落とすのだ 人々の心も洗い流されるだろう リセットするみたいに全てが綺麗になるまで雨は降り続くのだ
そうすれば全てが印象派の絵画のように眩く輝くのではないか 僕達は新たな世界で新しい人生を送ることができるのではないか そんなことも大事だけど腹が減った
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