【短:小説】深夜の電話/なかがわひろか
 
後に、突然がちゃっと電話を切った。
 僕は少々唖然としない訳にはいかなかった。なぜなら僕は何一つ間違っていなかったからだ。OK。こんな夜もあるさ。僕はもうそう自分を納得させるしかなかった。まだこれから睡眠に入ったとしても、日常的には何の問題もない。まだやり直せる。
 僕は迷わずベッドに戻った。

 一ヶ月後、とある文芸誌に電話をしてきた小説家の作品が発表された。
タイトルは「見知らぬ電話の向こう側」。
 やれやれ。物書きも楽じゃない。

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