【短:小説】あまがえるの雨宿り/なかがわひろか
だ。
「わざわざ悪いね。悪いついでにあれなんだけどさ。焼酎でもたらしてくれたら幾分いい感じなんだがね。」
図々しいあまがえるだ。だけど僕も今日はこの雨を見つめながらのんびりとスコッチでも呑みたい気分だった。
「おいしいスコッチがあるんだけど。そっちでもいいかい?」
あまがえるはみどりいろの口を大いに開けて、「いいね。あんたなかなか分かるね。ゲコゲコ」と言った。ゲコゲコというのはきっと喜んでいる証なんだろう。
僕は二人分のスコッチロックをダブルで(あまがえるがどれだけ飲めるのが試してみたかった)あまがえるに差し出した。
「乾杯。」カチン。グラスが重なる。
「ぷはーうまい。
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