フレミングの/AB(なかほど)
 
机の下の指先が
とても不器用に見えた時
祖父と同じように
草木の汁が染み込めばいい
と思った

へび苺の味は思い出せない


祖父の出畑は
すぐに草やつるが生い茂るので
それをなぎはらい、刈りはらい
いつしか草木の汁が染み込んでいく

そんなふうに汚れたままの指先が
へび苺を摘み取り
幼い男の子に差しだした

その
へび苺の味が思い出せない


大切な場所にインターチェンジが出来たよ


指先の全ての方向から
草木の匂いがして
やがてそれぞれの車線に流れていった







  
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