フレミングの/AB(なかほど)
机の下の指先が
とても不器用に見えた時
祖父と同じように
草木の汁が染み込めばいい
と思った
へび苺の味は思い出せない
祖父の出畑は
すぐに草やつるが生い茂るので
それをなぎはらい、刈りはらい
いつしか草木の汁が染み込んでいく
そんなふうに汚れたままの指先が
へび苺を摘み取り
幼い男の子に差しだした
その
へび苺の味が思い出せない
大切な場所にインターチェンジが出来たよ
指先の全ての方向から
草木の匂いがして
やがてそれぞれの車線に流れていった
戻る 編 削 Point(6)