オアシス/mac
彼女が
砂漠で飢えて水を求めて
手を伸ばす姿を想像する
既婚子供有の友人は言う
このまま一生恋する事も無く
朽ち果てるのか、と。
結婚相手を恋愛時代と同じ様な情熱で
思い続けろ
それは酷だ
そもそも恋心なんて
経済事情や介護や育児の上には存在しない
私は彼女が
砂漠で飢えて潤いを求めて
手を伸ばす姿を想像する
一時のスコールでも
彼女に降り注げば
そんな事を考える
彼女は問う
何のために生きているのか
ずっと乾いたまま
うなだれて
砂漠の砂を掻き集め
何かを探す
ただ生かされている
けれど
私は
一瞬のスコールが
彼女を傷つけるだけなのも知っている
彼女の心の砂漠化は
スコールの度に進んでゆく
私では
そんな彼女に
コップ一杯の水も与えてあげることは出来ない
彼女の求めるオアシスは
いつも蜃気楼だ
振り返ればそこには
彼女の涸らしたオアシスの跡
彼女が涸れた、と
思っている
オアシスの跡
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