子どもの昇天 ?海?/輪橋 秀綺
誰が哀しくて 雨が降るのか
水面には 先祖様が揺れています
海底では 光こそが恋しいのです
海のキャンパスを塗りつぶす 雨
それはまことに私達の涙です
天の彼方 水のレンズの奥に霞む
雲の間には 私達が揺れています
宇宙の拡がりに届こうと
私の中心で 鼓膜が震えています
殆ど戦慄するような それは 雷
眠るように隠れていた ある晩の
そのとき
強烈な閃光の 波のような幕は 堕ちたのでした
(しかも それは )
幕の奥には 新世界が うっすらはっきり見えました
私は眼を瞑ります
{引用=何が哀しくて 涙を棄
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