僕は神様/はじめ
 
いのような線を浮かび上がらせ、小さな唇をさらにきゅっと結んで全神経を絡まった睫毛一点に集中させている女の姿があまりに可笑しくも可愛らしくもあり、また大変もどかしくもあったから、僕は僕の手の平ほどの大きさしかない女の顔にかかった艶のある前髪を後ろにかき上げてやった。女はうっすら目をあけて僕を見つめた。体の穴という穴から、男を誘惑するただならぬ妖気を醸し出していた。僕は真下の血溜まりに小指をつけ、それを舐めた。微かに現世の味がした。
 僕は女の挑発に便乗してこう呟いた。
「…実は、お前はまだ完全な大人にはなりきれていないんだよ……言い忘れていたが、パパの生まれた世界では、その?生理?っていうものが
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