僕は神様/はじめ
だねー!」
アカリは僕のでっち上げた適当な言い訳に何も違和感を感じることなくそう言うと、隙をついて足元からピョン、とジャンプして黄色いハンカチを素早く拾い、キャーキャー言いながら走っていった。
「…こ、こら!、……あ、あんまり遠くに行っちゃダメだぞー!……」
僕の掛け声に、アカリは嬉しそうにハンカチを振り回して応えた。そのかわいらしい姿に僕は一瞬ふと安堵の笑みをこぼしたが、心の中では絶え間なく広がる不安の煙が大きな渦を巻き起こしていた。
「…………」
僕はアカリの、この類の素朴な疑問に関しては無知を押し通すことで精一杯だった。この子を育て始めてから、今直面している場面の対応の仕方を
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