僕は神様/はじめ
な悲鳴がそこら中から飛び交い、側にいた大人達は仰天して恐怖のあまり、こぞってドーナツの縁の中に潜り込んでいった。僕は笑っているととっても気分が良かった。それは腹の中をくすぐる渦が完全に抜け切ったからかもしれなかった。
新鮮な空気が吸いたくなったのだが、あいにく下の砂利が邪魔でなかなか上手く腹を膨らませることができなかった。僕は残るすべての力を振り絞って一旦ぐるりと半回転して仰向けになった。と同時に群衆の輪が一気に拡大した。円の半径が僕三人分ぐらいに広がった。僕は大の字になって腹一杯深呼吸した。空気が煙草よりうまいと感じた。実はまだ僕は未成年だから煙草なんて吸ったことがなかったが、この感動をどう
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