金沢の情景/はじめ
1月の金沢の街並みは僕に永遠の安らぎを与えてくれる
故郷から遙か離れたこの地で
僕は痛め傷ついた心を癒している
まだここに来たばっかりで 吐く息は赤い
僕は一日のほとんどを眠り 目が覚めると街を眺める
空気が旨い
記憶の中にある古い君の街と似ている
僕の心が回復するまで金沢はずっと1月のままだ
街は雪で覆われていて 外に出るには寒すぎる
でも僕は街並みがよく見渡せるベランダに出ている
昔を思い出す
街並みとセピアの君の街並みが重なる
それは涙が目に溜まったせいだ
君の街は年中暖かかった
君がワンピースを浮き上がらせてダンスを踊っている姿
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