「センス オブ ワンダー」/ゆいしずと
街角でコンクリートの上の血溜りを見て
貧血を起こした少女がいた
目だけやたらに光らせながら
ポリバケツをあさるやせた子猫がいた
自分を責め続けることに逃げる俺を
本気で心配する他人がいた
酒を飲みながら泣いた
涙を流さず泣いた
遠くで花火が上がっていた
コーヒーをすすりながら俺は考えた
どのように生きるか
もはや美学まで考えていられなかった
嘘をつくのに夢中な連中がいた
嘘をつくのが下手だったために
病気になった人がいた
弱さを優しさと混同してしまって
自分の大切なものまで壊してしまった友がいた
閉ざした心に気づかずに、ただ涙が枯れたと信じていた
俺は嘲笑しようと思ったのだが
何かが心の端のほうにひっかかっていた
殴ってしまった後はいつでも心配そうに駆け寄った
街を歩きながら俺は考えた
何を追っているのか
もはや美学まで考えていられなかった
とにかく生きてみながら
俺は不安になった
どこに行き着くのかと
もはや美学などありはしなかった
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