空/櫟 伽耶
 
泣いている

空があんまり綺麗だと言って
悔しいと一言吐き出して


絞り出された血がこの土に染み渡る
噛み砕いた錆色の土は毒の味
染み渡る毒が身の内を刺す

それでも声を上げることすら出来ずに


錆色の土
鈍色の景色
人の色は何色だろうか

欺瞞 希望 侮蔑 崇拝 愛

世界はこんなにもグロテスクな色合いをしているのに
どうしてこんなにも恋しい
まるで月が欲しいと泣く子のように


そこで見ている
全て知っている
なのに何一つ映すこともせずに
どうして変わらずこんなにも綺麗


泣くことしか知らない子のように

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