雲に乗る/松本 卓也
川の流れに乗っかって
どこか遠くに行きたいな
思った以上に世界を知りすぎた
こんなにも分らない方が
幸せだったなんて思わなかった
耳を澄ましていなくったって
誹謗や糾弾に晒されるしかなくて
平凡に生きようと願っていたとしても
何かが違うという結論だけが残る
結局思い描いた肖像画と
昨日自分を写した表情は
あまりに違っている事実
風の流れに乗っかって
向こうの空を飛びたいな
痛いのは首筋だけじゃなく
肝臓膵臓肺臓心臓と喉に腰も爪先も
現実が突きつける意味を教えるだけ
一点さえも一所にさえも
安寧を求める事が許されない
そんな錯覚を覚えて苦
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