雲に乗る/松本 卓也
 
川の流れに乗っかって
どこか遠くに行きたいな

思った以上に世界を知りすぎた
こんなにも分らない方が
幸せだったなんて思わなかった

耳を澄ましていなくったって
誹謗や糾弾に晒されるしかなくて
平凡に生きようと願っていたとしても
何かが違うという結論だけが残る

結局思い描いた肖像画と
昨日自分を写した表情は
あまりに違っている事実

風の流れに乗っかって
向こうの空を飛びたいな

痛いのは首筋だけじゃなく
肝臓膵臓肺臓心臓と喉に腰も爪先も
現実が突きつける意味を教えるだけ

一点さえも一所にさえも
安寧を求める事が許されない
そんな錯覚を覚えて苦
[次のページ]
戻る   Point(3)