とんがり帽子の世界/霜天
 
とんがり帽子を私はかぶって
今日も街に乗り込んでいく
とがった先端は威嚇のためで守るためで
つんと伸びたその向こうでは
空が青に光っている


どうにも街は壁だらけで
いろんなとこにぶつかってしまうから
とんがり帽子をあちこちへ振り向けて
ぶつからないようにぶつけないように
必要以上に確認してしまう


そこでもここでもきょろきょろと
目深にかぶった帽子の下で
とんがりとがった帽子の行方
確認しながら確認されて
走るなんてもってのほかで


人ごみ草むら駆け抜けた
転んで泣いても笑ってた
裸の髪がちりちり焼けた
子供の目線はどこ行った
忘れたわけじゃないけれど


とんがり帽子で区切られた世界
あちらこちらでとんがって
つんと伸びたその先端
太陽にちりちりと焼かれるけど
その感覚は届かない


今日もとんがってる街で
とんがり帽子に身を潜め
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