代表ジェラルミン、おおいに語る/hon
 
でおしまいである
つぎにアンパンマンの話をしよう
アンパンとはつまりパンである
パンは……ゴホッ、失礼……ゴホッゴホッ……
(猛烈に咳きこむ代表高倉。演壇に用意された水差しの水を口にする)
……いや、失敬した この話は止めにしよう
空爆の話をしよう
とある街が爆撃にさらされることになった
空軍から住民に避難勧告が事前に通知された
街はいっとき人の波と車の列でごったがえし
やがて静まりかえって最後にはがらんどうとなった
その人気のない通りを一人の男がうろついていた
男は街にしりあいもおらず
だれもたって男に逃げろと勧めるものもいなかった
むろん彼だって街のさわぎを目にして
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