詩集・人生の最中に/生田 稔
やさしい言葉を言うものだ
私達に憎しみを持っているわけではないのだから
不必要な人間を消す仕事を
彼らはもう何年となくやっているのだから
わたしも今あの夜から、この現実を公にしているのだが
至高よりも絶望のほうが変わり者には
アッピールするものなのだよ。
午後よりの外出
玄関にそろえられた黒靴に、足を入れようとすれば、小さな金魚が跳ね出でて、悲鳴を上げる
自転車で書物を買いに出る
足をのばし,未だ訪れしことなき美術書店に入れば、モナリザを売っている
値は一万五千、お買いになりますればということ
海中は二千もなく、三十円のめいが模写を沢山買う
選ぶには冷や汗を流
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