腐った蜜柑の周囲の蚊の飛翔によって悪夢から目覚めた3秒後のうた/虹村 凌
土曜日のパーティーで会った女の子に
もう二度と会えない気がして
目を覚まして起き上がる
重たく疲れる夢の影が足元まで伸びていて
遠くのネオンが照らし出すのを黙って眺めている
背中にシーツが張り付いたまま
コンプレックスの数を数えて苦笑う
何時も深爪なのはきっとその所為だと思う
午前零時まであと二分
ベッドの下の埃の浮かんだコーラを飲み込んで呟いた
膝が笑っている
ベッドから身体を起こす
悲しい噂が17件
脅迫電話が18件
いたずら電話が22件
留守番電話に残ったまま
東京タワーの天辺の
赤い光と同じリズムで
オレンヂ色がチカチカしてる
長い間 夕日
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