ら、むーん ★/atsuchan69
微かに血の色を混ぜた
純白の火照り。
月光を浴びた濃淡の起伏が、
永くしずかに波打つ夜
幾重にも重なりあう
厳かな山脈を流離う爛漫、
滑り落ちる霞のごとく
裾野へ降りて散る花、死、花の吹雪
青褐に染まる森を見下ろし
おぼろげな雲に隠れた
ほろ酔いの影の淡さが声に滲む、
生娘の笑みを想わせて
彼処にうかぶ、
夢ごこちの華たち
光を浴びた木々の枝に、
芽吹き犇きあう葉たちの在るがまま
夜露に濡れた草葉の蔭、
湿った土を這う虫たちは蠢く
あれは嵐の晩
稲妻に倒れ、今も横たわる朽ちた老木
そして寄添うように群生し、
俄(にわか)に育つ菌類の欲深な匂い
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