桜、炎上/橘のの
 
って
火の粉、舞う

断末魔のやうな風のこえ



 *



 満開



その樹の下で
女がなにかを探している

乱れ髪もそのままに、
花びらを掻きわけながら、
祈るかの姿で



やがて、
降り積んだ花骸の中、
何かが指に触った



 *



 般若の頭蓋




跪いたまま、
花びらを指先ではらい、
女はそれを愛でて抱きしめた



折しも斜陽の刻

その姿は
灼かれるようであり、



白髪に変わろうと
血や肉が絶えようと
いつまでも
女はそこにいるのだった



        *



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