イーサー/イーサー/石田 圭太
イーサーになりたいと君が言った
そんなものはないと俺が言った
星、星、と君が言うから空を見れば海だった
水と煙に呼吸があるなら
与えられて/合わさって
灰水の洩れる絶望が
生まれる時の絶望が/母そのもののように
母そのもののように他は追い出すさ
押し寄せながら/絞め付けながら
残る頭はふたつ霧
果てしなく細かく充満してる
なのに今も尚、君は母みたいなものに
何も知らない俺は、少年にもなれないままに
大人にもなれないままに/君は母みたいなものに
輝いている
ほら、私の方が水かき広い
と、生まれついたものを自慢されたあの日
なんの、裏クロール
と、身に付けた技法で対
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