いくばくかの日銭/佐々宝砂
 
仕事を選んでそれに従事する意欲がない。

「作家は最後に選ぶ職業だ」と言ったのは確か村上龍だ。現在の日本では詩人は職業ですらないようなので、詩人は最後の職業にすらつけなかった人間がたどりつく、どうしようもない救いようのない何か、なのかもしれない。それでも私は、詩に対する忠誠心ならありそうな気がする。言葉に対する忠誠心や義務感やなんやかやなら充分に持ってるような気がする。気がするだけなのかもしれないけれども。

詩ではいくばくかの日銭すら稼げない。ときどき、私は、そのことがどんな筋肉痛よりつらい。筋肉痛はいつか治る。しかし詩は治るまい。
戻る   Point(4)