いくばくかの日銭/佐々宝砂
身体中筋肉痛だ。それともいうのも金がないから肉体労働にしばし従事していたのだった。久しぶりに肉体労働するときついわ。18リットル入りの洗剤を一日あげさげ、パレット積み。死ぬわ。腕が痛いわ、腰が痛いわ、膝の裏が痛いわ、ふくらはぎが痛いわ。誰か助けて、も何もねえな、私が自分で選んでやってることだ。いくばくかの日銭を稼ぐために。稼ぐため以外のなにものでもない。仕事じゃないと思う。忠誠心も義務感も何もないと思う。強いて言うならいくばくかの日銭に対する忠誠心だ。ずいぶん虚しい。
いくばくかの日銭を稼ぐために、私はずいぶんいろんな職業を体験してきた。働いた工場だって一種類ではない。多少だが事務経験もある
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