夜明け/八布
 
この夜明け
街は忘れていた形を取り戻していく

影が生まれ
新しい気配が景色を横切る
一番透明な時間に
一番透明な予感が
僕を通り過ぎる
寄りかかった壁のその冷たさだけが
まだ夜に属している

僕は走る
湿った草が足の裏を刺して景色が流れる
一つからもう一つへ移ろう色、そして匂い
息をひそめている家々の窓ガラス
遠くに見える過透明な桃色
ゆううつが流れ出ていく

振り返る
口を開いた怪物のような
ギザギザした街並みが現れ始める
この夜明け
僕は一番初めの音を待つ




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