鸚鵡の偉業/蔦谷たつや
 
西の国の王様は嘆いた。
彼の一番に大切にしていた海より青く世界一珍しい、
自慢の鸚鵡が逃げ出したのである。
王様は独身だった。彼は早くに両親を亡くした。
彼は悲しさをわかりたくないと、その鸚鵡を肉親の如く可愛がった。
鸚鵡は家族であり、よき友であった。
だけども、鸚鵡は逃げ出したのだ。
鸚鵡はとても逃げるようすはなかったので、
臣下は注意することなく、殆ど鸚鵡を放し飼いにしていたのだ。

王様は嘆いた。
そして、すぐに彼の嘆きは、紛れもない怒りに変わった。
大切な鸚鵡を逃がしてしまった臣下は、その家族もみんな、国を追われた。
唯一の家族を奪われた王様は、鬼神の如く怒った
[次のページ]
戻る   Point(6)