タナトス/はじめ
 
何度も呟きながら 突然心の湖に芽生えた感情に〈攻撃と死への欲動〉が浸され 涙を流した
 〈君〉はもういなかったんだ 俺は何をやっているんだ
 しかしそれは一瞬のことで 再び心は〈攻撃と死への欲動〉に染まり突き動かされて 鉄パイプを自分の心臓に思いっ切り突き刺した どぱっ と血を吐き出す 血の闇の中で君の白い姿がぱっ と一瞬だけ映り 耳元で「さようなら」と言う声が聞こえた 僕はにんまり笑って 両膝を突き 夜空を仰ぎながら最後の力で鉄パイプを貫通させ その場に倒れた 君が何故死んだのか分からない
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