芯/霜天
ちり、ちりり、と
細く凍える氷の心音を
耳元に押し当てながら私は
グラス越しの揺れる景色を
手繰るように眺めていた春でした
くわん、と
頭の、奥の
くわんと鳴るところが私の
大きな切り替わりで
俯き加減ですが
表を向いていますから
まだ、まだ遠くを見れます
どこへ行けるでしょうか
遠くを見るというだけで
遠くを見れるというだけで
雪柳が、遠くには雪柳が揺れていて
揺れていて、散っていくようでした
あの夢は、まだ空を見ていますが
私は俯く角度で、凍えないほどの覚悟で
海沿いの国道を北へ歩いて行くようです
くわんと鳴る頭の奥は私の芯のようで
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