君への矢文/白糸雅樹
 
君はいつも夏の匂いがしていた
 
太陽の埃っぽさと
なにかに飢えかつえているようなまなざしと
つま先で蹴りたてられた大地のいきどおりと
 
そんなものを陽炎のように纏い
通り過ぎていく
 
何年たっても君は私より二歳若い
 
縮めようのない時間を貴重に思うには私たちはまだ幼すぎた
 
ジャンプ
 
使い古された比喩を鋏で切り開き
 
疾走していく
失踪を望んでいる
 
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