君への矢文/
白糸雅樹
君はいつも夏の匂いがしていた
太陽の埃っぽさと
なにかに飢えかつえているようなまなざしと
つま先で蹴りたてられた大地のいきどおりと
そんなものを陽炎のように纏い
通り過ぎていく
何年たっても君は私より二歳若い
縮めようのない時間を貴重に思うには私たちはまだ幼すぎた
ジャンプ
使い古された比喩を鋏で切り開き
疾走していく
失踪を望んでいる
戻る
編
削
Point
(0)