黄金町/リヅ
頃は
明るく生きることがすべてなのだと信じていた
大人になれば
うまく社会と繋がれなかったり
大切な人が死んでしまったり
笑顔だけの日々がずっと続くわけがないことを知るけれど
それでも黄金町は明るく生きることがすべてなのだと言い切った
どこの売春宿だったんだろう
韓国人の彼女は何処へ行ったんだろうね
だけどどの店覗き込んでも彼の幽霊はいないよ
この町には生きている人しかいない
本当は
どの町にも生きている人しかいない
いつからか町の中心を流れる大岡川の水が澄んでいた
映画館は来月に取り壊しが決まった
空家になった売春宿の通りも住宅街になるだろう
湿度は消え皮膚感覚は失われていく
黄金町は死んでしまう
それでも私とKさんの生活はもう少しだけ続く
残ろうか
捨てようか
忘れようか
それから何処へ
生きてるって奇跡だ
山手の丘で誰かが言った
死んじまう奴がアンラッキーなのだ
十年前の黄金町ならきっと笑ってそう言った
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