はるいちばん。/狠志
 
ふと気付くと、

手の甲を虫が這っていた。

小さなその虫は、

人の手だと気付いているのだろうか。

巨大な塔か、

荒れた空中庭園か。

その冒険をしている、

小さな虫に。

突風を吹き掛けてみた。

どこへか、どこだか。

跳んでった。

今日は雨曇り。

心地良い春の気温。


そう、春なのです。


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