恋形見/Lucy.M.千鶴
 
常緑樹と
落葉樹の混じり合う山に

自然に出来た
葉脈のある 木の葉 マーク

滑る車の窓から 見つけた

時の流れのなかで 
出逢い
寄り添う ひとの 隣で

京の大文字 想い出した

あのとき
あのひとは
行き交う人々の あふれる なか
わたしの 
右手を しっかりと 握りしめてくれていた

(左の薬指 Ring 艶めく・・・)

あの日
あの まま
朝まで その手を 解かずにいれば
続いていたはずと

何度も、
何度も、

後悔した。



でも、いまは、
あの頃の わたしが
笑顔で
「それで よかったのよ」 と
手を振ってくれている。

わたしは
その 
笑顔を
恋の形見に

時の後ろ姿の
青春の影に・・・

そっと・・・
あまやかな 痛みを
心地よく
感じながら

今 愛するひとの隣で

手を振りかえす。


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