或る季節の死/黒田人柱
 
珈琲牛乳の色をした空には
夜と朝とが 文字通りに交じり合う
季節はそこに存在する唯一つの風景だ

一年、二年、三年、と
過ぎ去った時間の数を数えているのだが
両手だけでは足りないので
猫の手も借りたい

未来が遠ざかっていく
未来が輝いているから
ちょっと堰きこむ


死を恐れろ
知性で克服しようなんて思うな
空を見ろ
季節が溢れているのだから

もしも檻があるとするならば
この世界に手錠があるとすれば
誰の墓標を刻みつけるのか


僕はもう そんなものはいらない
風景を 季節を 季節の死を
戻る   Point(11)