セヴンブリツヂ/虹村 凌
海も山も陽も街も
自分も俺も全部嫌いな勝手な女が言ってたんだ
「あの橋は河を渡る為にあるんじゃない。
あの橋は河で溺れる為にあるのよ。」
最初は何を言ってるのかてんでわからなかったけど
最近は何となく理解できた気になって橋を眺めてる
春も夏も秋も冬も
自分も俺も全部嫌いな気紛れ女が言ってたんだ
「みんな東京が汚いと云うけど嘘よ。
色々な欲望がキラキラ渦巻いてキレイだわ。
汚いのは文明の発達の所為で切れなくなったシガラミよ。」
少し困ったような顔をした彼女は
窓から煙草を投げ捨てると
携帯のメモリーを全て消去した
橋の向こうで街が笑ったように見えた
白も黒も
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)