社会見学から地球崩壊まで/楢山孝介
なくて
あったのがいけないんじゃないか
空気のある飛行場で何を聞いても
宇宙の話に実感なんて湧かないよ」
一人ガキ大将だけは誰の話にも全く耳を貸さず
「怪獣だよ宇宙怪獣さえ出てくれば良かったんだよ」
と喚いていた
後に何故か宇宙飛行士になってしまったガキ大将は
怪獣を見つけたいという夢を記者会見場でも話し
場内を大いに沸かせた
そして本当に
とある惑星で知的生命体を発見してしまった
おまけにその中の一人を妻として地球に連れて帰ってきた
体長三メートルのリスに似ている彼女の姿をテレビで観ながら
かつてのませた少女は僕の隣で呟いた
「きっと、女性乗組員の誰にも相手にされなかったからだわ」
「怪獣の次は宇宙ヒーロー探しですか?」
記者の質問にかつてのガキ大将は照れながら
「それは子供に任せます」
と、妻の腹部を指差して言った
人類の代表みたいな顔をして僕の妻は心配そうに呟いた
「地球を崩壊させるような子供が生まれたらどうするのよ」
そして本当にそうなった
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