射精についての覚書、あるいはボードレールについての覚書/んなこたーない
の特質である」
この美の定義は特に物珍しいものではなく、古くから美はそういうものであったようだ。これを体系化したひとりにポーがいる。周知の通り、ボードレールはポーの遺産相続人のひとりであり、「ボードレールと共に、フランス詩も遂に国境の外に出る」(ヴァレリー)、その恩恵をうけた詩人は数限りない。マラルメもブルトンも西脇順三郎もそうである。もちろん、そこには詩人それぞれの気質があるわけで、なにも書物から得た印象をなぞっているだけではないだろう。まち、次の指摘も重要である。すなわち、これもまたボードレールからの引用だが、「『美』は常に人を驚かせるからといって、人を驚かせるものが常に美しいと考えること
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