艶布巾落とし/A道化
ないほど、私は、不用意にそれら汚してしまうばかりで
西日の溜まりのしろいしろいまぶしい廊下に浸かって艶布巾を握り締めたまま
何処から拭いてよいのかわからず、ついには、指先は、艶布巾の艶にはっとして
床板へ取り落としてしまい、ああ
ああ
美しくありたい
美しく、ありたい
美しくありたい、美しくありたい
美しくありたい、美しくありたい
ただそれだけ
ただ、ただそれだけを考えて生きることを
美しいものたちよ、蔑みますか
何も見えません、艶布巾から逃げ西日を後追いしようにも
出口も何も見えない廊下そしてその壁に引っ掛かったために倒れない体
それはそれで
安息、といいます
2004.4.27.
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